一冊の本。ONE BOOK STORE。

考え方が変わった。旅にでた。助かった。私を変えた。それは、たった1冊の本。

「此処で筆を擱」いた志賀直哉っていい人。作者に救われた仙吉の神ストーリー「小僧の神様」

 本との出会い方には色々有りますよね。この人素敵だな、と思っている人が好きだと言っている本、というのも出会うきっかけです。その人がそういう考え方になるにあたって、少なからず影響を与えたと思うからです。

 私は小山薫堂さんが好きです。どんな人か知らない方もいらっしゃるとおもいますけど、もしかしたらおぼろげながらワクワクする事を生み出す人だというレベルで知っている方も多いかと思うんです。でも実はそこなんです。あの人面白そう、が私にとってはとても大事で、そういう人物が出来上がるまで影響を受けた事に触れてみたい。そういう思いから、小山薫堂さんが好きな本として挙げていた志賀直哉の「小僧の神様」を読んでみました。こういうきっかけは大切にしたいと思います。

 「小僧の神様」他沢山の作品を読ませていただきましたが、細やかく内容に触れることはやめておきますが、一点だけ。志賀直哉の作品って、一個人の内面をどんどん掘り下げる作品が多いと思うんです。読み手も心を揺さぶられます。だから一つ一つの作品は短いけれど、読みても全力投球で読まないといけない。息切れしてしまうんですね。でも、その疲れてしまうっていうのは、心のどこかで自分の内面と比較させているからつかれるんだと考えまして、描かれている心情はそのまま、あぁこういう人もいるんだなぁ、と「受け入れる」ことにしましたら、あら不思議、自分の心でさえも赤裸々に受け入れることができる、その感覚がわかるようになりました。「小僧の神様」は「此処で筆を擱く事にする。」という文が有名です。(有名なのかな。)それすらも作者の心情の現れで、滋賀直哉作品は心の標本的な感じ、と思いました。

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)